なちゅん

レディ・バードのなちゅんのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.8
共感と既視感は時として痛みにもなる。

背伸びしたい年頃のレディバードは誰もが通るそのタームを踠いて足掻いて抜ける。
それはかつての私をもっと濃くしたような背伸びの仕方で、どこか他人事と思えずに心がキュッと痛んだ。
私もその時期は母ともよくぶつかったし、実際家を出て、大学を出てからやっと仲良くなれたから。
レディバードはその鳥籠から不器用に羽ばたいて、NYの街中で「クリスティン」に戻る。自分が他ならぬ「クリスティン」だと気づく。
レディバードの不器用さが、彼女を取り巻く素敵な人たちが、愛おしくてたまらなくなった。ルーカス・ヘッジズのダニーが可愛いし、ジュリーみたいな親友が1人いれば人生は豊かだろうなと心から思う。
ティモシー・シャラメ演じるカイルのあの退廃的な雰囲気と儚げな表情たるや…この世の宝なのでは…

グレタ・ガーウィグの脚本がすごく素敵だったから、この冬のLITTLE WOMENも楽しみ。シアーシャのジョーとティモシーのローリーに期待。
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