このレビューはネタバレを含みます
トーキョーノーザンライツフェスティバル2020にて。
学生時代にクラスからいじめにあっていたアンナが、同窓会にて当時の辛かった心情を吐き出していくというフィクション映画を、実際に当時のメンバーに鑑賞してもらうという20年越しの<擬似>報復ドキュメンタリー。
良き思い出に浸りたい元クラスメイト達に突き付けるピリついた感情。そこに発生する若気の至りへの後ろめたさと、過去の事をいつまでも責められる事への苛立ちという自己便宜。
第一幕でみせる先回りされた同窓会のシュミレーションにより、第二幕に於ける其々の感情の発露が閉ざされ、極限の居心地の悪さを炙り出している。
アンナ・オデル監督の実体験も少なからず入っているだろう本作。
こんなトラウマにも似た記憶を作品にしてしまおうという感性に感嘆。
それと同時にこのようにしか消化できないのだろうという不憫さも感じてしまう。
セルフドキュメンタリーとも
モキュメンタリーとも
ただのフィクションとも言い難い
実験的な意欲作。
観る者の感情に訴え、キズを残すという点に於いては完全に成功してるのではないだろうか。