caramel

母よ、のcaramelのネタバレレビュー・内容・結末

母よ、(2015年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

母の死が間近に迫る女性映画監督やその兄、彼女の周りの人々を描いた作品。
大切なひとが亡くなるときの家族がとてもリアルに描かれた作品だと思う。(あまりにリアルなので私的に感じられる人が多いのも、まあそうだろうなと思う)

興味深かったのは、虚構の現実を描く世界にいる主人公の、現実との距離の取り方。
母の病名や病状を何度聞いても覚えられない主人公は、映画の撮影現場でも「自分にとってのリアル」にこだわり続ける。
自分の欲していた母親像を知っている(に違いないと思い込んでいる)彼女の教え子に感じていた想いを、彼女自身ずっと消化し切れずにいたのかなというのを匂わせる、そこまでに留めたラストが良い。

教え子には出来るのに娘にはできないことや、母親だから、身内だから見過ごせない、苛立ってしまうことってあるもの。
虚構の現実の中でもがき続ける主人公と、現実を見つめすぎて精神的に崖っぷちな兄。それにいつまでも気付くことがない(だろう)主人公。
家族の近さと甘え、現実と理想をシビアに、ユーモアを交えながら描いた良い作品だと思いました。
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