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創造と神秘のサグラダ・ファミリアのodyssのレビュー・感想・評価

3.2
【ガウディの設計した大聖堂】

スペインのバルセロナ。約140年前に建築家ガウディが設計して建設が始まったカトリックの大聖堂サグラダ・ファミリア。
完成までには300年かかると言われていたが、2005年に世界遺産に指定されて観光客が増え、その入場料による収入で建設費は潤沢となり、さらに技術的な進歩もあって、あと10年かからずに完成するのではないかと言われるようになった。

本作品は、この大聖堂が作られ始めたいきさつや途中経緯などを明らかにし、現在進行しつつある建設現場などを映し出したドキュメンタリーである。
途中で建設を中止すべきだという提言を知識人たちが出したが(幸いにして)通らずに建設が進められたこと、現在、この建物の真下に高速鉄道のトンネルを通す計画があり、やはり反対運動が起こったがそれを無視してトンネルの建設がすすんでいること、当初の計画ではこの大聖堂から大通りまでのスペースにも建物が予定されていたのだが、市民の要求で宅地として開発されてしまっているのでそれをどうするかが問題になっていること、などなどの事情が分かってくる。

世の中、色々な考えの人がいて、計画というものも時代や流行に流される部分があり、そういう紆余曲折をへながらサグラダ・ファミリアは建設が続いてきたのだ、と納得。

監督がドイツ語圏の人だからか語りはドイツ語で、建設現場はスペインだから登場人物はスペイン人が多いわけだが、監督の名が英語流にステファンとされていたり(正しくはシュテファン)、スペインの人名、例えばJoanが英語流にジョアン(正しくはフォアン)とされているのは残念である。日本語テロップを付けた人間の教養が問われる。
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