このレビューはネタバレを含みます
事故で片足を失った少女の話。
心身共に傷ついた少女の癒しと再生を描いた作品なのだけど、面白いのは少女ではなく、少女の愛馬の治療が主に描かれていく事。
事故のショックで暴れ馬になってしまった愛馬は、少女の傷ついた心のメタファーでもあり、愛馬が癒される事で少女の心も癒されていく…という構成が上手いな~と思いました。
また、せっかちで成果主義的な母親に対し、じっくりと馬を観察するカウボーイの対照的なアプローチも印象的な部分。
人にしろ動物にしろ、心の傷を癒すのに急かしたり、結果を求めても良い事はないわけで。
ゆっくりと見守り続ける事が大事なのでしょう。
最終的には少女が愛馬と再び向き合い、乗りこなす…つまりはトラウマと向き合い、コントロールする事で事故を乗り越えていくというラストも見事。
…と、少女の再生物語に関しては、見ているこっちも癒されたし、概ね良かったと思うんですよ。
ただ、問題なのが中盤以降から母親とカウボーイの恋愛が描かれていくんですよね。
正直、こちらとしては少女の話で癒されたいと思っているところに、恋愛要素…しかも不倫というドロドロな大人の恋愛がブッ込まれるので、かなり邪魔に感じてしまいました。
おかげで少女の話がすっかり後景化してしまったし、3時間近い長尺になったのも、少女の再生話と男女の不倫話と映画2本分の内容を詰め込んだ事が原因でしょう。
どうしても、この2つの話をやるのなら、せめて応援し易い恋愛話にして欲しかったです。
不倫ではなく、母親をシングルマザーの設定にするなり、母親の性格をもっと共感し易いものにすれば、もうちょっとサイドストーリーとして受け流せて見れたかもしれません。
少女の再生話を中心に2時間程度でまとめてくれれば、ヒューマンドラマの佳作として評価出来た気もするのですが、良くも悪くも恋愛要素で好き嫌いが別れる作品かなと。
まぁ、ロバート・レッドフォード主演作なら、ロマンスが欲しい人もいると思うので、そういう人にはオススメの作品ですね。