安堵霊タラコフスキー

Badou Boy (原題)の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

Badou Boy (原題)(1970年製作の映画)
4.5
アフリカ系映画の父たるセンベーヌ・ウスマンの作品より実験性に富んだ、このジブリル・ジオップ・マンベティの映画は40年以上経った今見ても瑞々しい、新風が感じられる作品だった

話は浮浪少年と少し間抜けな警官を描いた取るに足らないものだけど、台詞やモノローグを添え物程度にし映像と音のコラージュに重きを置いた、原初的かつ野心的なスタイルに芸術性を見た

中盤に唐突に現れた紳士的な男にもチャップリンのオマージュが感じられ、やはりサイレント映画をリスペクトしてのこの作風だったのだなと感心し共感を覚えた

デビューしたての頃の作品のため少々粗削りで不安定なところもあったが、そこも若さの表れと好意的に見られたのは志の高さが感じられたからだろう

マンベティの作品は特別上映がない限り日本で目にすることは叶わないし、海外のDVDもプレミアついて高いものばかりだけど、彼はもっと評価されてしかるべき監督だし、もっと作品を見られる機会を増やしてほしいものだ