このレビューはネタバレを含みます
リアルSFというより、「すこしふしぎ」な設定でツッコミどころは多いが、寓話として見るのが丁度よいのかも
様々なファクターで見れる設定
エコ思想としてのダウンサイジングは、環境保護の為に自己犠牲的にやってるヴィーガンとかに近いものとしても見れるし、ダウンサイジングを月面着陸に例えるセリフもあったけど、宇宙開発、特に海外テックの間で最近盛んな火星開発的な未知の世界へのセンス・オブ・ワンダーへの憧れの感覚も感じさせる
あとノアの方舟みたいだなと思ってたらセリフで言及もされるし、後の作品のドント・ルック・アップも想起させる(しかし皮肉な事に彼らは自分から進んでそこに乗り込む)
ダウンサイジングを戦争や罪人への処刑に使ったりとかもしてる(ここら辺は主題ではなさそうだが、そこを拡張した話も見てみたかった)
などなど一つの思考実験として面白い
たださすがに途中が長い
お掃除係のベトナム人とのやりとりはもっと削れたんじゃないかね
身の回りの事である意味精一杯なベトナム人と別の世界別の可能性別の環境に夢を見る主人公
想像通りの展開ではあるけど、小さくなっても格差だったり人間関係など、人間は大きくなる前と同じような問題を抱えてしまう
その中でビジネスチャンスと捉えた実利主義的な奴らは成功してるし、中途半端に優しく、常に漠然とした動機に突き動かされてる主人公はやはり中途半端なとこに行き着く
最後の展開は若干取ってつけたような感じはあるが、結局人として「行ききれない」中途半端な主人公は本能的な感情に従ってる程度が彼にとっては穏当な着地なのかもしれない