【第64回ヴェネツィア映画祭 オリゾンテ部門最優秀ドキュメンタリー賞】
『山河ノスタルジア』ジャ・ジャンクー監督のドキュメンタリー。ヴェネツィア映画祭オリゾンテ部門に出品されドキュメンタリー賞を受賞した。
言葉は極力少なく、映像の力で紡がれていくジャ・ジャンクーらしい作品。大衆と服の関係を3つのチャプターで語っていく。
気鋭のデザイナーを通して中国と服の関係を探っていく2章が興味深かった。彼女のブランドのコンセプトがまず面白いし、ファッションの裏側を垣間見るという意味でも魅力的だった。
1章と3章では庶民と服を扱っている。服の生産工程、服を買う喜び、そして労働を追っていく。その背景にある中国経済を端的に象徴しているようだ。
静かなトーンで語られるドキュメンタリーといて実に魅力的。背景にあるメッセージも痛切。ジャ・ジャンクーらしいペーソスに溢れた秀作ドキュメンタリー。