オダヤカ

Wake Up, Girls! 青春の影のオダヤカのレビュー・感想・評価

Wake Up, Girls! 青春の影(2015年製作の映画)
5.0
「七人のアイドル」やアニメ一期では先鋭的表現が目立ち、伝わりづらかったwugちゃんたちの魅力や楽曲の良さが一番伝わりやすい(と思う)のがこの続・劇場版「Wake Up, Girls!」前後編だという話をします。

「七人のアイドル」もTVアニメ一期も意欲的なアイドルアニメである反面(某監督の趣味で)表現が先鋭的すぎて人に勧めるのが難しくなっている。
「七人のアイドル」はTVアニメのプロローグであり、あの短尺でのチーム結成モノなのでストーリーは良くも悪くもテンプレにしかならないし「タチアガレ!」という名曲があってようやく映画として成り立つものでした。
TVアニメに関しても大好きな面は沢山あるものの全体的に作画は悪いですし、なんといっても一番の見せ所であった最終話のLive作画で外してしまったのは絶対にやってはいけないことでした。
それは製作陣からしても大変無念だったと思いますし、だからこそこの映画の冒頭では少しだけですがアニメ最終話で叶わなかったLiveの作画修正版を持ってきました。アイドルはLiveでこそ真価を問われるものです、というところようやく本編の話へ。

「青春の影」は作画がよいですし作画がよいということはアイドルの顔がよいということなのでLiveシーンの重要さと共にアイドルアニメの必修項目をクリアしています。
そして何よりこの前後編の映画のテーマこそが「Wake Up, Girls!」らしさを巡る話になっていて、「Wake Up, Girls!」という物語やwugちゃんというアイドルを知るのに一番向いていると思います。
「七人のアイドル」で描かれた、まだアイドル未満だった彼女たちにはアイドル衣装や見せパンが与えられなかった、みたいな描写は多くの初見者にとって気に留められないどころかパンチラへの険悪感しか残りませんが、この続劇場版では某監督が執着する現実感の強いネガ描写とアニメ的面白さのバランスが優れていると思います(おはよっぴー)。

そんなwugちゃんも「青春の影」ではかつてがむしゃらに「タチアガレ!」や「16歳のアガペー」を歌っていたアイドル未満のただの少女ではなく、東京で戦うアイドル・地方出身アイドルとしてが突き進むだけでなくそれぞれ複雑な悩みを抱え、やがて自分たちらしさってなんだろう、"WUGらしさ" ってなんだろうというテーマに行き着きます。
そんな "ガラスのように脆く揺れる不安定な少女の気持ち" が集約された「少女交響曲」という名曲に至る構成が素晴らしいし、この映画を勧めるというよりは「少女交響曲」を聴いてもらいたい気持ちが強く、その「少女交響曲」を聴いてもらうのに一番エモいタイミングこそこの映画を観てもらうことなのでここまで書きました。
勿論「七人」や一期を見てからの方が楽しめるでしょうけど個人的には続劇場版前後編単体でも楽しめますしその方が多くの人に受け入れてもらえるのではと思います。それほど "wugらしさ" が溢れる映画になっています。

あわよくばこの物語や楽曲が突き刺さった方と、3.8(金)SSAでの声優ユニット「Wake Up, Girls!」のファイナルライブでお会いできればと思います。
オダヤカ

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