クニヤン

ガールズ&パンツァー 劇場版のクニヤンのレビュー・感想・評価

4.0
戦車による模擬戦が戦車道という武道(スポーツ?)として存在する世界の女子高生達の青春ストーリー。

正直な話、戦車と女子高生という組み合わせはキワモノ以外の何物でもないんだろうなと思っていた。

しかし、実際見てみるとすごく面白かった。
映画としての構成もよくできているし、ストーリー、作画、音楽、アクションシーン等もかなり高い水準でまとまっていた。
初っ端、聖グロリアーナ学園のダージリン達が優雅にお茶をしているシーンから始まり、実はそこが包囲されて激しく砲撃を受けている戦車の中であるという驚きのシチュエーションにびっくりさせられ、そこから前半の30分くらいは手に汗を握る激しい戦車道のエキシビションマッチのシーンが展開する。
初めから観客の目をくぎ付けにしてぐいぐい引っ張て行く展開は本当に上手な演出だと感じた。
(ハラハラするシーンだけでなく各キャラクターがそれぞれの個性を生かして笑いをさそうのもうまい)

戦車道で使われる戦車は第二次大戦で使用されたものという規定があるようで、私ぐらいの世代で少年時代タミヤ模型の戦車を作ったことがある人達にはなじみ深い戦車が多数登場する。
戦車の動きがほんと細かいところまで表現されていて、それぞれが強力な戦車砲を激しく射ち合ってるシーンは大迫力であった。
ほんとにディティールにこだわっていると感心したのが、戦車の劇中に出てくる戦車照準器が恐らく実車の物を忠実に再現していると思われる事だ。
また、戦車を利用した追いつ追われつのアクションシーンは、カメラワークなども非常に工夫されていて非常にスリリングかつエキサイティングだった。

TVシリーズでは、廃校の危機にあった大洗女子学園を主人公の西住みほと彼女の仲間が戦車道の全角大会で優勝することで救ったのだが、エキシビションマッチの後、主人公達は、廃校の話は、無くなっていなかったと知らされる。
この危機を打開するための唯一の道は、大学選抜のエリートチームとの試合に勝つことであった。
しかし、大洗女子高学園と天才少女島田愛里寿率いる大学選抜チームの戦力差は非常に大きく、西住みほの力をもってしてもその差は埋めがたいほどであった。

後半は、西住みほ達と大学選抜チームの対戦となるのだが、当初相手方との圧倒的な戦力差に勝つ自信を失いかけていたみほの前に彼女のかつてのライバルたちが続々と応援に駆けつける。
そのなかには、姉まほの姿もあった。
これによりみほは勇気づけられ、自信を取り戻す。
かつてのライバルたちが、主人公の窮地に駆けつけるシーンていうのは、本当に友情というのは素晴らしいと感じさせてくれる。
お話し的にもかつてのライバルたちが一つのチームになって力を合わせて戦うというのは、一番盛り上がる展開じゃないかと思う。

最後の西住流の姉妹対島田流天才少女の対決は、この映画のクライマックスにふさわしい激しく手に汗握るシーンで西住姉妹のコンビネーションも上手に描かれており完成度が高かったと思う。

戦車とか出てきているが、普通にスポーツ青春アニメの様な雰囲気を持っているこの作品は、ジャンル不明だが、非常にユニークで成功している作品と言えるだろう。
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