JAmmyWAng

金メダル男のJAmmyWAngのネタバレレビュー・内容・結末

金メダル男(2016年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

人間、何歳になっても何かに挑戦し続けて、前を向いて生きていける、という風なテーマを誠実に扱っていると思うし、実際イイ話ではあるんだけど、まあ演出がアレで結構なノイズになってしまいました。それでもこの作品を全然嫌いにはなれないですけれども。

テレビ番組のパロディ風な事をやったりするんだけど、劇中でテロップが過剰に使われていたりもするせいで、そもそもこの映画自体がテレビっぽいんですよね。そうしてますますテレビっぽさが加速してしまって、見ていてちょっと辛かったです。

あと、昔のマンガで「瞳がメラメラ燃えている」って表現があったけど、ああいうのをCGを使って実写でやっちゃうところとか、もう見てるこっちが恥ずかしいので、頼むからやめて下さい。昔の時代設定だったから敢えてやったのかもしれないけど。ああいう日本のマンガのギャグ表現を実写に持ち込んでちゃんと面白くできるのって、自分が思い浮かぶくらいでは、チャウ・シンチーぐらいじゃないかなあ。

取り敢えずこういう映画演出としてのチープさ、ダサさがすごく目立ってしまっていて、見ているとテンションが下がるんですよ。

でも一方で、今作のもう一つの側面としては、努力は無駄にならない、過去は何らかの形で今を生きる糧になっている、というこれまた真っ当なテーマもあります。劇中では無人島での生活でその辺の回収をするんですが、こういうシーンは無条件に好き。

そもそも、水泳とか社交ダンスとか、ウッチャン自身がテレビでやってきた事が、劇中では俳優ウッチャンが演じる主人公の挑戦の対象として出てくる。つまりこれは、単純な「こういうイイ話を考えました」という創造物ではなく、実際にそうした経験を積んできて、それでこうしていま映画を撮っているんだという、監督ウッチャン自身の物語でもある。

そういうメタ的な構造になっている事を考えますと、あれらのテレビ番組の企画も、多分ウッチャンは一生懸命やってきたんでしょう。その番組の事自体を僕は忘れてしまっていたけど、ウッチャンのような名のある芸人でも、そういう事が糧となって今を生きているのかな、僕はただ笑ってテレビを見ていただけ、ただテレビ番組というコンテンツを消費していただったけど、ウッチャンをはじめ出演者の人達にとっては、本気で何かに打ち込んでいた大切な時間だったのかな、なんて思うとウルウルきてしまう、というか正直泣きました。

ただやっぱり、多くの演出の残念さはなかなかのものがあるので、僕は手放しでこの映画を誉めることは出来ないです。

でも、自分がただ単に消費してきたテレビだって、それに対して誠実に努力し、その経験を糧としていまも頑張っている人がいるという、思えば当たり前の事に気付かせてくれて、しかもそれはテレビだけに限った話ではないでしょうから、その点で僕はこの映画を嫌いにはなれないです。

「劇団・和洋折衷」関連はほとんど笑いました。あれをもっと見たいです。
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