ShimaD

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男のShimaDのレビュー・感想・評価

3.8
『ローマの休日』の脚本を執筆したダルトン・トランボの半生を描いた伝記映画。序盤は失敗したかな…なんて思ってたけど、中盤以降「やらいでか!」と勢いづいてからの面白さが並じゃなくて。
家族の絆っていいなぁと思う反面、世論や先入観に必要以上にとらわれてしまうことは辛いなぁと思いましたよ(´・ω・`)ヤーネ

観賞前後に「ハリウッド・ブラックリスト」についてちょっとかじるとより楽しめるかもしれません。
思想・信条による差別がまかり通った怖ろしい時代が描かれているため、ついトランボ側(共産主義)寄りな表現に見えてしまいそうですが、もちろん一方を擁護するようなものではなく。
いつしかトランボですら「敵か味方か」という観念に束縛され危うく大切なものを失いかける…という展開が“排他的は自殺的”という教訓にもなってました(˘ω˘)

トランボの刑期終了後くらいから面白さが加速するのですが、それを勢いづけるのがジョン・グッドマン。
映画プロダクション会社「キングス・ブラザース」の社長役ですが、B級のなんたるかを熟知しており「きぐるみ買ったからゴリラ映画をつくれ!」「どうせ俺の客は字が読めねぇ!」といったセリフが抜群に冴えてる(*゜∀゜)=3
「俺は金と女のために仕事してるんだ!」という彼の言葉が実は思想と理想だけでは成り立たないハリウッドの実情にも繋がってるとこもいい。

『スパルタカス』の製作が進行するにあたり、主演のカーク・ダグラス(ディーン・オゴーマン演)が登場するのですが、その登場の仕方&そっくりな顔に場内に笑いが。
そして『栄光への脱出』の監督オットー・プレミンジャー(クリスチャン・ベルケル演)もコメディ・リリーフとして登場。クセがすごい。
前述のジョン・グッドマンといい、こういう映画的おかしみはコメディ畑の監督だからこそなんでしょうね。
徐々にノリが変わった気もしましたけど(笑) いいぞもっとやれ(`・ω・´)

エンドロールの最初に本物のトランボさんの映像が流れるので席を立つのはしばしお待ちを。
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