帰ってきたヒトラーの海苔のレビュー・感想・評価

前半は軽妙な風刺コメディ。笑いながら引き込まれていくうちに、気づいたらシリアスな政治ドラマになっている。今なお大衆の心を掴むヒトラーのカリスマ性。求心力。「最初は皆笑ってたんだ」との老婆の叫びは胸に刺さり、ヒトラーとは別物とはいえ若干トランプ現象とも被る。ドキュメンタリー要素も相まって、難民問題で揺れる現在のドイツの姿が怖いほどにヒトラーによく似合う。民主主義やナショナリズムが必ず孕むヒトラーという可能性について、改めて考えさせられる作品。「私は人々の一部なのだ。」