蒼井ことり

帰ってきたヒトラーの蒼井ことりのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
3.7
毎度毎度ドイツ人には頭がさがる。シリアスであれコメディであれ、自国の犯した罪を忘れないかのようにナチス関連の映画を製作している。

本作は評判を聞いてみてみた。
そんなに好きな映画じゃなかったけどよくできてると思う。
こんな実験的で際どいテーマの映画がよく作れるなとつくづく感心した。

オチが怖い。そしてブラックジョーク(ここまでやって大丈夫なの⁉︎とちょっと心配するレベル)にクスッと笑える。ただ勉強不足でナチス系小ネタでわからないところも多数。
キャッチコピーどおり「笑うな、危険」。

ヒトラーを通して現代ドイツやヨーロッパ、世界を批判しているのが、ためになり面白い。(ドイツも日本と変わらず大変そうだ。。)
悪でも善でもカリスマのある人に民衆は惹かれてしまうんだなぁ。

以前、ヒトラー役の人のインタビューを見たことがあるが、全然ヒトラーに似てなくて、本人もなぜ自分にオファーが来たのかわからないと言っていた。そう、実は顔もそんなに似てない。見事な演技だった(とくに早口でがなってまくしたてるところ。怖い)。

去年のクリスマスマーケットで、ドイツで死者の出るテロがあった。
この映画ではかなり原理主義者を揶揄している。
本来、民主主義において表現の自由は当たり前の権利だ。本作が直接的な原因とは思わないけど心配だ。嫌な時代だ。
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