現代社会の問題として移民排斥の思想を取り上げているけれど、この映画に出てくるヒトラーは、ユダヤ人排斥についてその思想をそれほどは語らないので、この映画が現代への有効な警鐘として機能しているか、繋がっているか、少し疑問に思ってしまった。
つまり、独裁者の何が問題なのか、移民排斥思想のどこがダメなのか、を描かず、"ヒトラーは稀代の極悪人だから、力を持たせてはいけない"というところで終わっているような気がする。
"ダメだからダメに決まってるでしょ"というなら、映画を作る意味はないと思うので。
ヒトラー1人を悪者にしても、それは真に歴史を反省しているとは言えないと思う。
昔は今のようなテロはなかったように、今はもう、国の政策として移民を収容所に集めて殺したりはしないと思う。今と昔は違う。
しかし、経済状況の悪化による人々の不満が他者に向かっていく構図は似ていて、そこへ上手く繋げないと、現在の状況への警鐘にはならないんじゃないかなあと思ったのでした。
面白いところもたくさんあったんですけど。
『ヒトラー 最期の12日間』のネタが分かったので、観ておいて良かった、と思った(笑)
ムッソリーニ版も観よう。