菩薩

メディアの菩薩のレビュー・感想・評価

メディア(1988年製作の映画)
4.5
最の高、傑の作、エウリピデス×ドライヤー×トリアーのハードルを易々超えて来た。ストーリーは最悪に暗い、夫が自分と子供二人を捨て、己の保身と出世欲、富と名誉に目を眩ませ、いとも容易く王の娘婿になる道を選ぶ。ついには国外追放の命すら出されたメディアが王と幼き王女を殺害し、遂には自分の子さえ手にかけ夫と共に全てを失うと言う誰も救われないお話。映像的には『内なる聖痕』の頃のガレルや自身の『ヨーロッパ』に通じるところがあるし、内容的には完全に『ダンサー・イン・ザ・ダーク』、って言えば観たことある人はすぐピンとくると思うけど、今回はそれが子供だし、自ら「覚悟はできてるよ」なんて言って協力的に首を括るシーンがヤバい、しかも作品ロゴまでそのシーン。王女の裸体も幼さがかなり危険なラインだし、不運にも毒をくらった馬が死にゆくところは…あれは流石に麻酔銃?トリアーならやりかねんと思ってしまうが…。最後に出るメッセージも「人生は暗黒への旅である。」と人間に対する不信を諭してくる、「鬱三部」の前にこんな礎があったとは驚愕、テレビ映画なのに完成度は非常に高い、そりゃ病むよ。
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