イチロヲ

絶頂姉妹 堕ちるのイチロヲのレビュー・感想・評価

絶頂姉妹 堕ちる(1982年製作の映画)
4.5
過去を払拭させようとしている元娼婦の女性(倉吉朝子)が、いまだに娼婦の一面を引きずっている姉(江崎和代)の縁談について、考えあぐねていく。聖性と娼婦性のシーソーゲームを語っている、日活ロマンポルノ。

内容は、いつも通りのいどあきお節。貧困生活により自分の体が資本になっている母娘を中心人物に据えながら、娼婦の世界から脱出不能になった女性たちのジタバタ劇を綴っていく。

母(絵沢萠子)が貧困からの脱却のために姉の縁談を推し進めるのだが、娼婦との縁切りができないことを悟っている妹からしてみれば、「なんかモヤモヤする」という物語。社会の底辺部でもがいている人間たちの、人間讃歌を根底にしている。

「廃棄物処理場にいると心が安らぐ」という、主人公の心理表現が素晴らしい。使い捨てにされたモノに囲まれることにより、共感性と居心地の良さを感受する。札幌の私設博物館「レトロスペース坂会館」にも通じる、退廃の美学を享受することが可能。
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