このレビューはネタバレを含みます
U-NEXTでロビン・ウィリアムズの最後の主演作品とオススメしてきたので鑑賞。作品全体がもどかしくて、切ない雰囲気で包まれた人間ドラマだった。銀行に勤務し、昇進も控え、妻と幸せに暮らすノーラン。初老まで懸命に生活を維持してきた。しかしノーランは、実はゲイであり、ある青年との出会いで、ノーランは同性愛の高ぶる気持ち、自分自身を偽ることを抑えきれなくなる。自身の気持ちに偽って生きているノーランの辛さを、ロビン・ウィリアムズが繊細な演技で表現している。争いを嫌い、いつも自身は遠慮して相手を優先して、人に接しているノーランだが、彼の全身からは自分自身を押し殺して、苦しんでいる雰囲気が見られる。この雰囲気が出せるのはロビン・ウィリアムズだからだろう。静かに体現する演技は流石。そして抑えていた気持ちの高ぶりは様々な場所に影響を及ぼす。特に辛かったのは結婚生活の終焉。妻のジョイへの人としての愛と尊敬はあるものの異性としての愛はなく、長い夫婦の歴史を壊さなきゃいけない葛藤が泣けてくる。ジョイも分かっていただけに余計辛い。自分はこうゆうのに弱いので胸が締め付けられた。ノーランのお父さんへの告白も辛かった。個人的には、それは打ち明けなくてもいい気がしたけど…。ノーランのケジメなのかなぁ?レオとの関係はちょとよくわからない感じ。何故ノーランがあそこまでレオの世話を焼くのかが分からなかった。レオもVHSをプレゼントしたり、ノーランと関わりたかったのは分かるが、ノーランの愛、面倒見の良さとのバランスが取れないし…。ラストを見ると自身を取り戻すきっかけにしたかったのかな~?
ジョイも一人で旅に出るみたいだし、結果的にそれぞれリスタート出来たみたいで良かったのかな?映画的には登場人物の描き方も浅いし、それぞれのエピソードも少すぎる。ラストもぼやけているので、中途半端感は否めないかな。なんとなく伝えたいことは分かるだけに勿体ない気がした。