こまち

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のこまちのレビュー・感想・評価

3.7
手紙が読み返されていくように、ドノヴァンの心情と子役だったルパートの母親との関係や学校生活が描かれている。

人気が出るほどに疑心暗鬼になって孤独になってしまったり、セクシュアリティのことを隠しながらの恋愛だったり、色んな有名人を思い出してしまうような苦しみの連鎖。ドノヴァンの段々曇っていくような憂いのある表情が物語っていた。

ルパートは手紙を通して、ドノヴァンの死の真相よりも生を見出して、自分の人生を送っているようなラストが良かった。

ルパートの母親が、愛ゆえに干渉しすぎてしまうところがリアリティがある…この「愛ゆえに」ってところに引っかかって、責めたくても責めることができないっていう。ルパート達はちゃんと言いたいことを言って衝突しながらも、お互い思い直して仲直りできるいい親子。

人間関係の機微が描かれていて好き、だが、ルパートの過去は文通がバレる経緯を説明するために挿入されている感じがしてしまった。母子の関係の描き方もジェイコブ君の演技も圧巻なんだけど、歳の離れた2人が文通で想いを交わしていたはずなのに、あまりその繋がりを感じられなかったというか、、この作品を完成させるためにかなり時間も費やして悩まれていたようなのでその苦労の後も見える…
そこも魅力なのかもしれない。他のドラン作品も見たくなった。
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