norahi

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のnorahiのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

本当に心の奥の方へ響いた時に言葉にし難いこと、が映像に描かれてる。
たくさんの希望と、たくさんの励ましをくれるわたしにとても必要な映画だった。物語の舞台は大きな場所だけれど、物語の本質はきっと誰しもに身近なもの。たぶん感動する場所がみんな違う映画。
そして本作も音楽が最高!

監督のグザヴィエ・ドラン自身が、少年時代にデカプリオに手紙を書いた話がモチーフになっているということにまず興味をそそられた。(わたしも前に漠然と歌手になることに憧れて12歳の頃拙い手紙を大きな事務所に書いたこと、絵を描く仕事に憧れてとにかく好きな画家のもとへ、メールを送りつけたことも、、そういうのって、社会人になるとできなかったことだったと思う。)

どこに向けて良いかわからない、社会への漠然とした希望を、まだ「家族」という社会(毎日同じで、たまに衝突するし、幸せだけれど、受け入れることがたまに困難な)しか知らない少年ルパートは、ジョンの手紙から見出していたのだろうな。
大人のジョンもまた、ルパートによって"君のために用意された場所"(ダイナーの老人のセリフ)はどこなのか知ったはず。

全てに言えることではないけども、大人になるにつれて"抱えすぎないこと"も選択肢にうまれて、子供だったことによって"諦めずにつづけること"を選べた、という歳を重ねることへの悟りみたいなものも感じた。昔はこんなにすぐ諦めなかったのにな、、、と思うこともあるけど、自分を変えていかないと人生なんてうまく続かなかったりする。とても悲しいことかもしれないけれど、受け入れることも大人。母のサムは役者を諦めたけれど、大きな希望を抱く息子を不器用ながら見守っている。血が繋がってるからこそ素直になれなくてわかり合えないけれど、辛辣なことが言えるのは愛があるからこそ。(親元を離れると痛感する。)
大人と子供が交差していた。
人間って循環している。

もしかして、リバーフェニックスが、NYの有名クラブバイパールームでオーバードーズで死んだ話も描かれてる?とも思ったり。

これから出てくるみなさんの解釈や感想もたのしみな映画です!また観に行こう。
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