Cisaraghi

あやしい彼女のCisaraghiのネタバレレビュー・内容・結末

あやしい彼女(2016年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

多部ちゃんがテンションMAX上げて頑張ってるのはわかります、わかりますし、もちろんとってもカワイイですが、韓国版のシムウンギョンちゃんは中におばあちゃんが入っていると難なく思えたのに対し、多部ちゃんの中に倍賞美津子が入っているとは全く思えませんでした。
 ついでに歌でも負けてて、音楽も韓国版の方が断然楽しかった。あちらは音楽映画と言っていいくらい音楽に強く訴える力があったけれど、こちらの歌や音楽にはそこまでの力はありませんでした。そもそも歌の場面は少なかった。それに、初披露する曲なのに、観客が歌えるって何?!
 韓国版ではウンギョンちゃんの衣装がとても洒落てて可愛くてレトロな雰囲気もあったのに対し、多部ちゃんのは何だか安っぽくてダサかったし、倍賞美津子の衣装はやり過ぎて微妙にリアリティー欠いてる感じ。
 要潤さん、韓国版のプロデューサーは好青年という印象だったのに対し、青年には見えなかったし、おばあちゃんに仄かな思いを寄せてるようにも見えなかったけれど、そういう設定だったのでしょうか?
 写真館が異空間オーラを放っていないのも残念ポイントでした。

リメイクで国ごとにおばあちゃんがどのような苦労をしたのか、というのが注目点でしたが、日本版のおばあちゃんは戦災孤児で、幼なじみのジローと支え合って育ったという設定。でもそこにもあまりリアリティーがない。韓国版にあった、おじいちゃんのおばあちゃんに対する真摯な思いはほとんど感じられず、二人の特別な強い絆もよく見えなかったので、最後のシーンも取ってつけた感じ。

そもそも倍賞美津子を若くしても、どう考えても多部未華子にはならんやろ!ってそれを言っちゃあお仕舞いか…。倍賞美津子じゃなくて、倍賞千恵子の方がよかったんじゃないかなあ…。
 
全体にオチャラケてて、真面目な部分が浮いてしまう。コメディ=オチャラケ、不真面目と思っているのか?と疑いたくなるような…。コメディはイノセンスと痛みなのよ(最近イタリア映画祭で仕入れた知識の受け売り)。

だから、韓国版では泣けた感動のクライマックスシーンではしらーっとしてしまって、小林聡美さんの演技の上手さだけが浮いていました。息子の設定を娘に変えたのも感動に持ち込むのを難しくしているのかもしれません。

よかったのは、息子のバンドのシーンと、スカイツリーのお膝元にある東京下町地方の人々の暮らしぶりが覗けたところかな、どこまでリアルなのかわからないけれど。韓国版にはなかった野外に遊びに行くシーンなどは、必要あったのだろうか?

一言で言って、本家には遠く及ばない残念なリメイクと言わざるを得ません。韓国版を見ていなかったらそこそこ楽しめたのかもしれませんが、本家を観た人は見なくてもよかった映画だと思いました。リメイクってそもそもそういうものなのかもしれませんが。オリジナルを観ているとどうしても比べながら観てしまうことを避けられない。でも、よく出来たリメイクなら見比べる楽しみもあるのではないかと。
 カワイイ多部未華子ちゃんを観たい方にはオススメ出来ます。歌声もキレイでカワイくて、小林武史さんの曲に合っているのではないでしょうか。
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