菩薩

風櫃(フンクイ)の少年の菩薩のレビュー・感想・評価

風櫃(フンクイ)の少年(1983年製作の映画)
4.3
「青春」と名のつくもの全てが瑞々しさを有している訳では無いし、全ての理想が叶うはずも無い、そんな事今になれば痛いほど身に染みているわけだが、それでも彼らがその瞬間に放っている若さはどんなものであっても眩しさを有しているし、誰もがかつては「なんとかなる」「どうにでもなる」なんて得も言われぬ自信に身を任せていた時期があるはずだ。性別は違えど『アデュー・フィリピーヌ』の様なその刹那、バスに揺られたどり着いた都会で揺れ動く少年達の心の機微、希望は少しずつ後悔へと色を変え、そして少年は少しずつ青年へと成長していく。早く大人になりたい少年期を経て、いつまでも子供でいたい青年期を迎え、彼らは少しずつ現実の厳しさにぶち当たって行く。それでも彼らの横にはいつでも「友人」の姿がある、だから大丈夫だ、安心しろ、少しばかり高くついた「カラーでワイドなスクリーン」の光景は、君らがタダで観ていたつまらぬ映画より心に焼き付いた事だろう。サヨナラだけが人生では無い、さらばまた会おうこそが人生であり、その手を離さなければ君らはいつまでも繋がっていられるだろう、今はただ、笑っていればそれで良い、君らにはしっかりと帰る場所がある。
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