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メッセージのsroのネタバレレビュー・内容・結末

メッセージ(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品。

個人的2017年ベスト映画。

突如地球な飛来した12隻の宇宙船。その中にいる「ヘプタポッド」と呼ばれる宇宙人の発する謎の音声や丸い文字を言語学者のルイーズが中心となって解読していくという話。

あらすじに12隻の宇宙船とあるが、話の焦点は主人公のルイーズに絞られている。

冒頭でルイーズの娘が病気で亡くなる描写が描かれるところから物語は始まり、ヘプタポッドの言語を解読していく度にこの娘との思い出がフラッシュバックのように頭によぎっていく。

彼らの文字を解読していくとヘプタポッドの扱う文字には時制の概念がないということが明らかになる。

我々人間は何か話をするのに過去、現在、未来といつの話なのかを明確にして会話を続けている。
ヘプタポッドの文字にはそれがないため、彼からすれば過去も現在も未来も変わらないものと考えられる。
我々が過去の思い出を頭の中で再生するのと同じ感覚でヘプタポッドは未来を見ることが出来る。

作中において「言語を理解するということは相手の考え方を理解するということに繋がる。」という言及がある。
これは見方を変えると他の言語を理解すると何かに対しての考え方や頭の働きが変わってくるのである。

作中を通してルイーズはヘプタポッドの言語を理解することで思考回路が彼らと同等のものとなり未来が見えるようになる。
劇中で何度もフラッシュバックだと思っていた娘との思い出が実は未来での出来事だということが明らかになる。

ルイーズは未来を見ることで娘が将来的に亡くなってしまうことを知るが彼女はそれを受け入れ、未来へと進んでいく決断をする。
最後に冒頭と同じく娘との映像が流れるがそれはヘプタポッドの丸い言語と同じく映画の冒頭と最後が繋がっていることを表している。

このような映像で何かを伝えるというものは映画ならではのものであり、絶望的な未来が待っていることを知っても尚、短期間でも娘への愛を選択するというラストはとても考えさせられるものである。

この映画からの「メッセージ」をどう受け取るかは観客である我々次第だが、個人的にはこのルイーズの決断は辛く苦しいものだけど、それでも愛を選択した勇気のある決断と感じる。
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