YasujiOshiba

Cowspiracy: サステイナビリティ(持続可能性)の秘密のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

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タイトルは「牛をめぐる陰謀」ぐらいの意味だろうか。マイケル・ムーアの映画のような導入。スピード感もある。ユーモアもある。「畜産は温暖化の最大の原因とされているのに、どうして誰も話さそうとしないのか」。カメラを持って、そんな疑問を追求する Kip Andersen は、ムーアよりもナイーブなのだけど、そのナイーブさが良い意味でこのドキュメンタリーを駆動させ、サステイナビリティという問題の中心に畜産を据えると、最終的には完全菜食主義 vegan という解決策へたどり着く。

要するに「食い改めよ」というのが結論なのだけど、ここで共感できるか、説教臭いと感じるかは、分かれるところかもしれない。個人的には、完全菜食も悪くないなと思っている。けれど、畜産をやっている人にだって、それなりの生き様があるはず。つまり荒川弘の「銀の匙」や「百姓貴族」のような世界が、このドキュメンタリーでは少々薄いと感じちゃうのだけど、それはおそらく大したことじゃない。

重要なのは、肉を食べることは地球を蕩尽することだという指摘を心すること。原発でも戦争でもなくて、肉食という欲望が駆動する畜産業こそが、世界を破滅に導いているのだということ。それを確認するためにも、ぜひご覧あれ。
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