原作はデイビッド・グーディスの小説で、トリュフォーとマルセル・ムーシーの脚本。
ストーリーはパリのカフェ「マミイ」でピアノ弾きとして日々金稼ぎをしているシャルリが、給仕係のレナと恋に落ちる話。この男は実は天才名ピアニストだご、ある出来事から名前を変えて働いている。男には3人の兄弟がいて、ゴロツキの弟の抗争にも巻き込まれてしまう。
レナと仕事終わりに2人でくっついて帰るシーンがモノクロが美しく際立ち、ムードがあり好きだった。レナの手を握ったり、腰に手を回そうとするも、真面目な主人公は手を近付けるのをやめるのでもどかしい。後をつけてくる2人の男をレナの鏡に映して特定するシーンが見事なカメラワーク。ヌーヴェルバーグの名撮影主ラウール・クタール。
この映画の7年後に発表されるロベールブレッソン「少女ムシェット」のような、坂から転がり落ちるシーンがありやるせかった。寡黙さ、臆病さが主人公シャルリの良さだが、それゆえに失った代償がでかい。
空虚な瞳でピアノを弾くシーンが絶望的で、今までのポップに聴こえていたピアノの旋律が悲しいものに聴こえてくる。音楽はトリュフォー「大人は判ってくれない」のジャン・コンスタンタンが担当。
製作陣がすさまじい。
ほんのりフィルム・ノワールのような香りを残しつつ、多くを語らな静かさがありとても好みな映画だった。