haru3u

ぼくのエリ 200歳の少女のharu3uのレビュー・感想・評価

ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)
4.5
ストックホルム郊外を舞台にした、少年とヴァンパイアの儚くも残酷な恋物語。
安っぽいジャンル映画になりそうなところを、極寒の地を舞台に息が詰まるほど静かな演出によって、ホラーというには余りに繊細で美しい作品に。台詞に頼らずとも雄弁に彼らの心情を語るカメラワークが秀逸です。

プールの惨劇場面の爽快感と美麗さには鳥肌が。同時に無邪気な微笑みを浮かべたオスカーに、もう彼は引き返せないんだなと切なくなりました。エリとの出会いが彼を変えたのか。それとも家庭環境やいじめ? オスカーのもともとの資質が?

中年男ホーカンとエリの関係性は劇中詳しく描かれないため、私にはただ少女を愛し運命を共にした哀しい男に思えました。
だからこそこの物語は何度も繰り返されてきた一瞬なのでは、オスカーも男と同じ運命を辿るのではと重苦しい余韻を味わったのですが、原作の設定を知るとまた違う印象で面白いですね。
haru3u

haru3u