形容し難い何かを喚起させ、
二度と観たくない気にもさせる、
何とも後味の悪い映画。
そもそも諸悪の根源である、
父親には一片の共感もできない。
三浦友和は熱演しているが、
どこか上品さが露呈して、
凄みが足りない気がする。
これが緒形拳とかだったら
震え上がるだろうな…など考える。
唯一まともな長男が新井浩文なのが、
不穏な感じで寒々しく暗い。
そして同情の余地もないほど、
憎々しく歪んでいる次男。
若葉竜也のその演技に圧倒される。
心を閉ざして目を合わさず、
自意識ばかり膨らんで持て余し、
どうしていいのか分からずに苦しむ姿。
父親に追い詰められて凶行に走り、
最期に一瞬だけ、刑務所での面会で、
心の懊悩を爆発させる場面に息を呑む。
父親には父親なりの、
家族に対する愛情があったのだろうが、
それは虚しく空回りし、
家族全員が救われず破滅してゆく。
こんな家族が日本には、
星の数ほどあるのかもしれない。
その現実味に薄ら寒くなる。