broccoli

葛城事件のbroccoliのレビュー・感想・評価

葛城事件(2016年製作の映画)
3.7
形容し難い何かを喚起させ、
二度と観たくない気にもさせる、
何とも後味の悪い映画。

そもそも諸悪の根源である、
父親には一片の共感もできない。
三浦友和は熱演しているが、
どこか上品さが露呈して、
凄みが足りない気がする。
これが緒形拳とかだったら
震え上がるだろうな…など考える。
唯一まともな長男が新井浩文なのが、
不穏な感じで寒々しく暗い。

そして同情の余地もないほど、
憎々しく歪んでいる次男。
若葉竜也のその演技に圧倒される。
心を閉ざして目を合わさず、
自意識ばかり膨らんで持て余し、
どうしていいのか分からずに苦しむ姿。
父親に追い詰められて凶行に走り、
最期に一瞬だけ、刑務所での面会で、
心の懊悩を爆発させる場面に息を呑む。

父親には父親なりの、
家族に対する愛情があったのだろうが、
それは虚しく空回りし、
家族全員が救われず破滅してゆく。
こんな家族が日本には、
星の数ほどあるのかもしれない。
その現実味に薄ら寒くなる。
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