横須賀アット

葛城事件の横須賀アットのレビュー・感想・評価

葛城事件(2016年製作の映画)
3.9
この家族……。

胸くそ悪くなると思いつつも見てしまったのです。

いや~、映画的に素晴らしい!
だからこそ、この胸の奥から込み上げるモヤモヤした感覚は賛美としか言いようがない。

・昔の親父を具現化した父親
他を抑圧し、有無を言わさない。男とは、家族とはを他人に押し付ける辺り本当にクソ。
義理だの人情だのを語りながら決して結論を出さない中華料理屋のシーンはいたたまれ無さ過ぎる。
・一切手料理を振るわない母親
夫の言うことに従い過ぎて思考停止をする。手料理を振るわない=家族に対する愛が欠けている。子供も両親に対する愛情は欠けるよな……
・将来を期待される長男
良い大学を出て、良い会社に入り、結婚し、子供を授かる。両親からの期待に抑圧し、一歩でも道を逸れることを許されなかったのだろう。だからこそ、その期待に答えなければならない。しかし、それが出来なかったら……。
・口だけの次男
こんな家族で歪まない分けないよな。
ニート状態でその場しのぎの言葉。一発逆転するから、と言いつつも何もせず親のスネをかじり続ける男。
父親からは穀潰しにされ、兄には見下される。

歯車がズレなけれ良かったのにと思う作品は多々あるが、これほどズレて、歪んで、目を背ける。そして、いっさい自覚してないのだから結末は変わらないのだろう。