ダイレクトに受け取ると、家庭環境が良くないと、子供は無差別殺人に走る可能性があるよという事なんだけども、敢えてステレオタイプな性格の4人を共同生活させる事で、核心のメッセージを際立たせる語り口は新鮮。
この映画の真に救いがないところは、
具体的な引き金を描いていないにもかかわらず、止めることのできない歯車の様に惰性で瞬間を積み重ねた結果を受け止めるしかない不可逆性自体の重さだと思います。
4人それぞれが、迫り来る日常に抵抗していれば違う世界線に行けたかもしれないのに、家族というコミュニティの中で小さな諦めを続けるしかない。
その対比として映画には唯一、「諦めない人」として田中麗奈が登場するが、次男に対してあれだけするから少し浮いた感じになっちゃうと思うんだけどもう少しリアルな設定だったらより深みのある映画になったんじゃなかろうか。
犯行シーンは加飾無しでとても良い。
ここは本当にナチュラルというかこんな感じなんだろうなというリアル感で鮮烈です。
そこに目撃者を置いている演出も大正解です。
もう一度は観ないだろうけど記憶に残る一本でした。