このレビューはネタバレを含みます
この作品は2001年の大阪で起きた「附属池田小事件」が元ネタです。
私はこの事件の詳細を事前に、知っていた上で、この作品を視聴しました。
とても面白く、色々と考えされられる作品でした。
「後味の悪い映画」、「胸糞映画」です。
私は観て良かったです。たぶんずっと心に残る作品です。
配役も良かったです。
何度か、「救いのチャンス」がありました。
しかし、父親がその「救いのチャンス」を尽くぶち壊します。
また、「家族が崩壊していく映画」とよく紹介されていますが、私には既に「家族が崩壊している映画」にしか思えませんでした。
既にあそこまで家庭崩壊している環境で育った子ども達は何かしら心に病を持つのは当たり前だと思います。
次男に対しては暴力。もう身体的虐待ですね。
母親は料理や家事をするシーンは一切出てきませんでした。
ご飯はいつもコンビニ弁当、カップ麺。
これは鬱ですね。何もかも気力を失っている様に見えました。
でも子供達の前では明るく振る舞う母親。もうそれしか出来ない重症な状態です。
妻が父の清に、「なんで私達ここまで来ちゃったんだろう」と泣きながら言うシーンがあります。
まだ子ども達二人は生きてる時のシーン。取り返しはつきます。諦めないで欲しかった。
また長男のSOSを全く気付かない父。
上手く誰にも相談出来ない、弱みを話せない長男。そうゆう性格に育ててしまった父と母。
現代、若者の虐めでの自殺や、事件が多々あります。
親は「全く気付かなかった」、「相談されなかった」。
ただただ、悲しいです。
「最期の晩餐」のシーンは涙が出ました。
これが「家族」なんです。
映画の最後、父親が庭の木で首吊り自殺を試みますが、枝が折れて失敗に終わります。
その木は、昔、子供達の健康を願って植えた蜜柑の木です。
まさに皮肉ですね。
父親にどんな過去があったのかは想像出来るけど、反面教師で「家族」と言うものに理想を抱き過ぎたのかなと感じました。
何に関しても「完璧」は無理です。