なつかし二番館

ロシアン・スナイパーのなつかし二番館のレビュー・感想・評価

ロシアン・スナイパー(2015年製作の映画)
4.0
ウクライナ人でソ連軍に志願した女性兵士の物語。
アメリカで記者に詰問されて彼女が言う「私の体には数え切れない傷跡があります。女を前に立たせてあなたたち男は何をしているのですか」の台詞は,女性兵士達のおかれた状況を戦後のことも勉強すれば重みのあるものだ。
隠蔽に特殊な才能があったこと,セバストポリで負傷して後送された後は,レコードホルダーの彼女が捕虜になるのを恐れ前線に出さず,外交団に加えたこと,ルーズベルト大統領夫人の知己を得たこと,等は史実。戦争までオデッサで研究員をしていたとか,オデッサからの脱出にユダヤ人らしき医師の自己犠牲があったというのは完全なフィクション。実際は開戦時かなり年で(といっても20代)党員として職場で指導的立場にあったが,若いときから(当時ソ連各地にあった)射撃学校での成績は抜群だったという。なお,史実では負傷する以前に結婚歴がある。
この映画はロシア・ウクライナ合作で,今対露制裁ということで見ることができないが,個人的には「アメリカン・スナイパー」の前後に雨後の竹の子のように出てきた腕がいいだけのスナイパーものとは比べものにならない秀作と思う。