けまろう

ミューズ・アカデミーのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

ミューズ・アカデミー(2015年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

『ミューズアカデミー』鑑賞。バルセロナ大学の文献学部で教えられるピント教授の考えるミューズの存在。ピント教授は、愛こそ最も高貴な情熱であると語り、その最も重要な要素が「音楽(music)」と「詩歌の美神(musa)」であると言う。熱心に耳を傾ける生徒の多くは女性であり、講義の内容は男女の構造にまで言及されていく。
ダンテの地獄篇にて出てくる不義の夫妻の話になると、男が声をかけたのか、女が声をかけたのかという議論に。ピント教授がしきりに強調するのは、真のミューズとはミューズ側から声をかけてくるのだということ。そう熱く語るピント教授に何人かの女性が近づき、何人かは教授と恋愛関係に発展する。
それに対して苦言を呈するのが教授の妻だ。愛と性欲は別なのだと話し、知的な愛に関して言及するべきだと語る。しかし、それは不倫している夫に対する批判なのだ。教授は若い女とベッドを共にし、その女のために詩歌を書く。老いていく自分にその役割が果たせないことをなんとなく理解している風の妻。但し、夫の死後、最後の詩集は私が出すという言葉や私の死後、夫は私のためだけにソネットを書いてくれるというセリフからは妻であることの矜持も見てとれる。
最終的には、ピント教授と一晩を共にした女生徒にコンタクトし、そこで自分が唯一のミューズではないという真実を知ったのだった。
結局、ピント教授がインテリを発現させて、「女性からの」浮気を唆した映画のようにしか思えなかったな。
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