砂

ひつじ村の兄弟の砂のレビュー・感想・評価

ひつじ村の兄弟(2015年製作の映画)
4.0
まず最初に言いたいのが邦題(フォント含む)、宣伝の嘘っぷりである。180°トーンが違う。これは非常にいただけない。カンヌ・ある視点で察するべきだが、明らかに狙う層を間違っている。

隣家に住んでいながらも40年間話をしていないという羊飼いの兄弟が、とあることをきっかけに協力し心を近づけていく、という話。

明確には場面転換で提示されないが、3段構成となっている。
序盤は牧歌的なアイスランドの草原を、楽し気な音楽とともにコンテストに出場するかわいい羊さんたち、というほのぼのした映画が、事件をきっかけに暗転(冒頭から予兆はあるが)。
季節は冬となり、兄弟間の不和が非常にギスギスした関係に悪化し、そして兄がふとしたきっかけで弟の秘密を目撃したことで、兄弟は共通の目的を共有し協力関係となる。

アイスランドの草原や、雪景色、部屋に差し込む光が美しい。
羊が説明に変わる兄弟関係や主人公の心情の象徴的役割を果たしており、物語の進行とともに愛を注ぐ対象から、関係性の復活のための犠牲へと移っていく。

邦題などから不意打ちを食らったような気分だったが、期待をしてなかったのだが、静かながらいい映画であった。これは余談だが羊と犬がとてもかわいい。
砂