あくとる

ビースト・オブ・ノー・ネーションのあくとるのレビュー・感想・評価

3.5
"少年が兵士となるまで"

『007: No Time to Die』の予習として、キャリー・ジョージ・フクナガ監督作を観賞。

内戦で家族を失った孤独な少年。
彼に残された唯一の生きる道は、兵士となることだった。

少年兵たちの過酷な運命を丁寧に描くドラマ。
理不尽な社会情勢に否応無く巻き込まれていく。
まだ幼い主人公の手が血に染まっていくのが、観ていて辛い。
そして、その血は染み付いて落ちない。
指揮官を演じるイドリス・エルバの存在感も良い。
彼もまた"服従すべき"一人の兵士、悲しき駒に過ぎない。

ドラマが丁寧なのは良いのだが、その分尺も長く、正直少しだれてしまった。
画的にも少し物足りなさを感じた。

この監督が007作品を撮るなんて信じがたい作風だが、果たしてどのように調理したのか、観るのが楽しみである。