なちゅん

ガタカのなちゅんのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
4.5
美しくて哀しくて、それでいて妙なリアリティのある映画だった。演出もスタイリッシュでエレガントで、予想以上に惹きつけられた。

人の幸せってなんなんだろう。
遺伝子操作が決して遠い未来の話でなくなった今、もう一度考える必要があるように思う。出生時に寿命や疾病率が分かるのはある意味いいのかもしれないけど、果たしてそれを利用して、「優秀な」遺伝子を残すことが人類の幸福なのかどうか。

ヴィンセントの不可能を可能にしたのは肉体的にはジェロームだけど、ヴィンセント自身の信念がなければ叶わなかっただろう。反対に全てにおいて恵まれていながら、その重圧に耐えかねたジェロームを救ったのはヴィンセントの存在だった。ヴィンセントとジェローム、あるいはジェロームとユージーン。2人で1人という特殊な関係性の上に築かれた、ただの友情を超える信頼関係はひどく美しく、儚く、ラストは涙するしかなかった。
ジェローム・ユージーン・モローは最初からそう決めていたはず。そしてヴィンセントはそれを全て悟って発った。2人のジェロームにしか分からない呼吸がそこにあった。

少し高慢で、でも優雅で知的なジェローム・ユージーンを演じる若きジュード・ロウが本当にかっこよくてしびれた……
なちゅん

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