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七日のlpのレビュー・感想・評価

七日(2015年製作の映画)
3.5
『プールサイドマン』の予習として鑑賞。予想以上に何も起こらない映画でビックリ!
主人公の一週間を描く点で、やってることは『パターソン』とほぼ同じ。『パターソン』以上に、主人公の行動や演出の変化は小さいので、「同じ日の繰り返し」という印象は今作の方が強い。
そして変化が小さいからこそ、いざ音楽やカメラアングルに変化があると、「何か起きるのか!?」と緊張が走る。結局、劇中では何も起きないけど、これは「今日は何か起きそう」と思っても、何も起こらずに終わることも多い現実の日常を、映画に取り込もうとしているように感じた。
『パターソン』との対比で言うなら、日常の中の淡い希望や期待を描いた『パターソン』が「光」なら、日常の停滞に徹底して焦点を当てた今作は「陰」といったところ。二つ並べてみると、巡り合わせや時期によって、どちらの人生も過ごすことになるのだと思う。

他には、劇中の牛は停滞した日々を過ごす主人公の「生かされてる」状況のメタファー、祖母は未来の主人公の姿を暗示してるように感じた。何も起こらない映画だったけど、こうやって解釈をすることで、味わい深くなっていくことが面白い。

内容が内容だけに、賛否が分かれるのも仕方ないけど、個人的には映画のメッセージや演出の意図を、じっくり考えながら2時間楽しめました。
何も起こらない今作でも満足できたので、何かが起きる『プールサイドマン』への期待は高まるばかり。
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