脳内金魚

バジュランギおじさんと、小さな迷子の脳内金魚のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

全然公開当時のことは知らず、たまたまリバイバル上映を知ったので鑑賞。

本作の主人公のひとりバジュランギことパワンは、厄介事は避けたいとか、迷子の子供と自分の結婚を天秤にかけたりと結構人間臭い。その点が、昨今日本で公開されるインド映画の主人公と比べ、とても親近感が湧いた。もちろんその行動を見ると、やってることはすごく高潔なのだけれど。

印パの歴史はよく知らないのだが、先日見た『ストリートダンサー』などとあわせると、国同士の思惑はともかく、市井の人々は二国間の争いを馬鹿馬鹿しく思っているのかなと感じた。本来、自身の内面を豊かにしたり他者を思いやるためにある宗教が、それを口実に自身や他者を傷つける言い訳になってはいけない。無宗教わたしからしたら、「人は人、自分は自分」でいいじゃないと思うけれど、一神教を信仰する人々にはやはり、それ(教義)が世界の心理だからそうはいかないのだろうか。一神教の人が、他の宗教の存在を認めることは、自身の神の存在の否定になるのだろうか?そのあたりが無宗教の人間には理解しがたいなと、改めて思った。

オチは正直分かりきっているし、ラストにシャヒーダーがしゃべれるようになるんだろうなと言う点も含め予定調和なんだけれど、やっぱりこう言う分かりきった「心暖まる映画」は必要だよなと思う。現実の宗教戦争や、領土問題などままならないことがあるからこそ、「分かりきったハッピーエンド」を描くことも映画の役目だよねと思うし、当事者が描く「理想像」だからこそ、彼らも今の現実をよしとはしていないことが伝わるし、それが救いだと感じた。
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