大富豪のご主人、独り者?・・・なのに付き人だらけっ!
前半はセリフなし、効果音と音楽だけで進みます
さて世界恐慌で身を滅ぼした主人公
サーカスの一座で暮らしている、かつての女性とその間に産まれた男の子・・・3人で巡業の旅へ 悲壮感はなく、むしろ幸せそう
やがて男の子は“ヨーヨー”と呼ばれる道化師として成長し、彼は父の失った屋敷を取り戻そうと考えます
感想です
個人の歴史は、イコール国の歴史にも重なります
一人の富豪の没落、そこから別れた女性との再出発、芸人一座の巡業の旅、戦争、子どもの成長、子どもはサーカスの道化からやがて“役者”、すなわち“テレビ”の時代へ・・・そう、コメディというより人間ドラマに重きが置かれていた気がします
【追伸】
気が付いたことあれこれ
冒頭での大きな屋敷、お金持ち・・・なのにドアの開閉音がいちいち“ギギィ~”と音を立てます・・・そりゃないでしょ、貧乏くさっ(笑)
玄関に車、正装のご主人、お出かけ?・・・って、犬の散歩かいっ
町にやって来たサーカス一座・・・そこで女性との再会
まさしく主人公が眺めては涙していた写真の女性です
監督・主演のピエール・エテックスという人を調べると、以前観た
ジャック・タチ監督の『ぼくの伯父さん』(1958年)のスタッフをされた方のようです
劇中で1929年の大恐慌を伝えるシーン、溢れる失業者、中でも次々にビルから飛び降りる人(自●)の画は、コメディらしくなく、ちょっとエグいです
巡業のワンシーン、看板を立てると、別の巡業の看板が・・・そこには『ザンパノとジェルソミーナ』の文字と絵 もちろん名作「道」(1954年)のオマージュです
歴史は第二次世界大戦の時代へ・・・ここでもチャップリンの「独裁者」(1940年)が登場します
ホンモノの象、子ども時代とラスト、印象に残るシーンです
1965年の作品ですが、冒頭字幕にもあるとおり、フィルムの劣化をエテックス監督も加わり2007年に修復、改めて公開されたそうです