ジャッキーことジャクリーン・ケネディのファーストレディとしての最後の大仕事。
自分の夫が人々に忘れ去られてしまわぬように、彼の手懸けたことが歴史の端っこに葬られてしまわぬように。
盛大な葬列は決して彼女の虚栄心ではなかったと思う。大統領として夢半ばで散った夫の名をただ、なかったことにしないための懸命の、ほとんど捨て身の大仕事。
彼女の努力の甲斐あってなのか、そもそもジョン・F・ケネディにそれだけの人徳があったのか、とにかく今も彼の名はしっかりと残っている。悲惨な最後を巡ってどれだけの物語ができたか。どれだけの議論を呼んだか。キューバ危機もそう。空港の名前にさえなっている。そしてジャッキーの名もこんなにもしっかりと残っている。私はアメリカ史には兎角疎いけれど、歴代のファーストレディで名まで知っているのはジャッキーとミシェルだけ。
悲しみの中でジャッキーがどれだけの葛藤と迷いと苦しみを抱えて数日を永遠のように感じながら過ごしたのか。それをわずかでも知れて良かった。
