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カルテル・ランドのzunzunのネタバレレビュー・内容・結末

カルテル・ランド(2015年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

様々なメキシコ麻薬戦争ものを観てきたが、どれも共通しているのが、救いのない現状に沈鬱な気分になる。

自警団による緊迫した銃撃戦はこの作品の見所であるのだが、このドキュメンタリー作品の真骨頂は、何気なく映る人の二面性や、正義と確信している行動の裏に潜んでいる怪しさや危うさが映し出されている所にあると思う。最後はカラクリまで匂わせてくれる。

アメリカ側の自警団のリーダーの行っている行動は、確かに昔のKKKなどとは全く違うのだが、頑なに己の正義に固執する点ではそれらの人々と大差はないのではと思った。

メキシコの自警団のリーダーである医師は正義の体現者であり、カリスマ性がある。街の人々にも愛されてる。
町民を説得出来ず醜態を晒す髭もぢや代理リーダーと比べれば、カリスマ性とリーダーの資質の違いは一目瞭然。リーダー不在の中、代理リーダーによる略奪行為などが判明し、重傷から復活したリーダーのカリスマ性が浮き彫りになるのだが、実はこのカリスマ・リーダーのダークな一面も映し出されている。英雄色を好む的な展開は面白いが、辿る末路が皮肉。
外圧による自警団の内部分裂があるが、寄生虫みたいなずる賢い奴らの方が、この歪んだ世界では生き残れるような気がした。

“事実は小説より奇なり”を地で行く作品で、先の読めない展開のドキュメンタリーなのだが、構成が巧みなで感心させらる作品でもあった。
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