トランスマスター

カルテル・ランドのトランスマスターのレビュー・感想・評価

カルテル・ランド(2015年製作の映画)
4.0
キャスリン・ビグロー製作総指揮のドキュメント作品
以前TV番組『クレイ○ージャーニー』で文武両道の危険地帯潜入ライター丸山ゴンザレスが取材を行ったテーマ。メキシコカルテルと自警団の軌跡を追った作品。メキシコのミチョアカン州の医師が麻薬カルテルと政府(警察・軍)との癒着で正義を熱望する住民の声に応えボランティアによる自警団を組織する。カルテルとの武力衝突や警察からの解散要求、また一部自警団が暴走するなど住民の理解を得られない状況で困窮する様子をアメリカ側のアリゾナ州のメキシコ国境を麻薬や不法移民を防ぐために退役軍人で組織された自警団と交互に視点を変えながらアメリかとメキシコの麻薬組織との攻防を描いています。

◆良い点/注目ポイント
・主人公のリーダーは、医師でありながら危険を顧みず無償でカルテルと対峙するなどチェ・ゲバラもそうですが、経済的に恵まれた人でも民衆の為に活動する様はまさにヒーローです。
・かなりショッキングな映像カットもありますが、カルテルの残酷さをストレートに表現しています。
・自警団や警察のカルテルへの暴行の様子は過剰防衛気味ですが、リアルさ満点です。

◆改善点
・アメリカ側の視点は、メキシコ側の視点に比べてインパクトが薄いような気がします。

◆総括
・貧しすぎて生きるために麻薬産業に身を置いている者、賄賂をもらう悪徳警官、次第に力をつけて強盗化する自警団など何が正しいのか考えさせられる映画です。この映画を観る前に『ボーダーライン』の視聴をお薦めします。