町蔵

ウイスキー・ガロア(原題)の町蔵のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

「ウィスキー・ガロア」
Whisky Galore!
1949/ イギリス/ 82min
監督:アレクサンダー・マッケンドリック 
製作:マイケル・バルコン
脚本:コンプトン・マッケンジー
アンガス・マクフェイル
音楽:アーネスト・アーヴィング 
撮影:ジェラルド・ギブス
出演:ベジル・ラズボーン
ジョン・グリーンウッド
ジェームス・ロバートソン・ジャスティス
●戦火の英国。しかしスコットランドの外れにあるトッデイ島の住民は、戦争など外世界のことであった。しかし戦時の影響でウィスキーの配給が止まる。島民とって酒のない生活など考えられなかった…。
実はこれは珍しい、日本未公開でソフトもなし、TV放送もないままなはすですね。
『英国コメディ映画の黄金時代』(チャールズ・バー著/宮本高晴訳)には一章割かれてます。
この本では「ウィスキー大尽」となってますがガロアという響きがいいので、「ウィスキー・ガロア!」のままにしました。初訳だと思われます。
舞台は戦中の英国ですが、スコットランドの北西部 大西洋を望む沿岸にあるアウターヘブリディーズ諸島の小島トディ島ですね。フラハティのドキュメンタリー「アラン」をごらんの方ならちょっと想像がつきますね。
アラン島のあの生活といっしょです。
スコットランドで、ゲール人の島ですね。英語とは違うんですね。そのあたりがちょいと複雑です。本土から来た英国の国軍が対外的には駐屯してますが。英国は民間兵もいますね。これは同じく英国のドキュメンタリー「ティモシーの日記」でしたっけ? にも出てきますね。戦時になったら一応、訓練を受けて戦えるんですね。しかし彼らはゲール人です。スコットランドはもちろんスコッチ・ウィスキーですね。彼らの生活には欠かせません。なのに戦時(首相はチャーチルです)には酒の配給が止まります。
これはありえない! ウィスキーのない人生はありえないんですね。そんな時に、民間の商戦が座礁します。
これは実際にあった貨物船ポリティシャン号がエリスケイ島での座礁事故から発想してます。
なんとも皮肉なコメディ。ナチスよりなによりウィスキーの欠乏が優先されます。
監督はあのマッケンドリックです。「白いスーツの男」これはまたお見せしましょう。
マッケンドリックはハリウッドに渡ってからほんとに見事な映画の先生になりますね。映画の教科書ですね。
マイケル・バルコンの〈イーリング社〉の名物喜劇の第1弾です。
「ウィスキー・ガロア!」は日本未公開でイーリング喜劇ですが、アレック・ギネスは出てませんね。イーリング喜劇と言えばアレック・ギネスなんですね。来月お見せする「ラベンダー・ヒル・モブ」も「白いスーツの男」もギネス主演です。ギネスと言えば晩年はあの「スター・ウォーズ」のオビワンですね。「ウィスキー・ガロア」には出てきませんがベジル・ラドフォードが軸になってます。本土から来た軍人です。
そしてゲール人の雑貨屋兼郵便・電話局の親父がワイリー・ワトソンです。この人、記憶にあるのはヒッチコックの「三十九夜」のあのミスター・メモリーですね。それから島の唯一の医師はジェームス・ロバートソン・ジャスティスです。「チキ・チキ・バン・バン」に出てました。女優のジョン・グリーンウッドは「白いスーツの男」にも出てます。
軍曹役のブルース・シートンは本物の軍人ですね。役者もやってます。オーディ・マーフィーのような感じでしょうか。第二次大戦で知られてスターになったんでしょうね。日本未公開の初上映ですよ。
戦後のイギリス喜劇、イーリング・スタジオの喜劇ですね。
マイケル・バルコンが製作です。配給がアーサー・ランクなのであのドラが鳴るところから始まります。

やはりスコットランドの島となると、本土とは相当異なる文化や風習があり、ましてや我々東洋人には未知の世界であることがわかった。結婚式でのダンスシーンは主観ショットで相手と一緒に回転するのがこの時期の作品として素晴らしい。ラスト近くの捜査官と島民の車でのせめぎ合いもスリリングでよかった。プラネットならではの上映作品。
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