安堵霊タラコフスキー

雲のかげ星宿るの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

雲のかげ星宿る(1960年製作の映画)
4.8
DVDを購入したりするとそれだけで満足して中々手をつけないでいるってことは人としてよくあることだろうが、やはりずっと見ないでいるのはあまりに勿体無い(特にこういう日本で中々拝めない作品は)ということで、見る作品に悩んでいたこともありようやっと手をつけようと思った。

このritwik ghatakという監督の作品、日本ではこの作品含め特集上映とかで何回か上映された程度なのでめちゃくちゃ知名度は低いけど、冒頭の湖畔のシーンみたいに詩情豊かな映像や人物を極力一つのカットに奥行きを意識して収めようとする構図(それ故に挿入されるクローズアップも非常に効果的に思える)が見事すぎて、この手腕は日本でもっと評価されるべきだと強く思う。

同時代に活躍したサタジット・レイの作品と比べたら少し演出や台詞回しに軽さがあるけれど、この作品を見れば映像センスにおいて彼にひけをとらないことがよくわかるだろうし、ここまで実力のある監督が日本で映画ファンにすらあまり知られていない(自分もとある映画の歴史を取り扱った番組を見るまで存在を知らなかった)状況は勿体無いと言わざるを得ず、せめて都市部だけでもこの際いいから定期的にこの監督の特集上映を組んで作品に触れる機会を作ってほしいものだ。

しかしritwik ghatakって名前、日本語表記だとどう考えてもリトヴィク・ガタクとかの方がしっくりくるんだけど、ベンガル語だとリッティク・ゴトク的な発音にでもなるということなのか。