すず

ナチス第三の男のすずのレビュー・感想・評価

ナチス第三の男(2017年製作の映画)
2.0
何を描きたかったんだろう

原題は[鉄の心を持つ男]。ナチスNo3のラインハルト・ハイドリヒの暗殺に焦点をあてた映画。
前半はハイドリヒがナチでの地位を獲得していく様、後半はハイドリヒ暗殺計画実行部隊という視点が異なる2部構成。

キャッチコピーの「なぜヒトラーでもヒムラーでもなく、彼だったのか?」その答えはわからなかった。前半でハイドリヒの人間性、変貌ぶりを描いているようだが、全然伝わってこない。最初から冷徹な人だったわけではなく、ナチスに関心もなかった。1人の女性が彼を変えた?いやいや、きっかけはそうだけど、どうしてあそこまで残虐なことができるのか?諜報部に慣れたせい?責任感が強いのはわかったけど、自国のためとはいえ疑問に思わないのか?自ら浄化の計画書や指示をしたり、自分で手を下すことだって厭わない。妻のことをないがしろにするようになり彼が変わってしまったのはわかるけど、どうして変わってしまったのかがわからなかった。

後半、こちらは[ハイドリヒを撃て]を鑑賞済の人にとっては既視感しかなく、1時間で描かれるので雑なダイジェスト版でしかない。

2部構成が全然上手く機能していない。邦題はハイドリヒの映画のように受け取れるのに前半でよく分からないまま、後半の恋愛模様とハラハラとラストの切なさを見せられ、後半の印象しか残らない。前半が本当に霞む出来。

これを観るより[ハイドリヒを撃て]の方が史実にも沿ってるので、そちらを観ることを強く薦める。

「HHhH プラハ、1942年」が原作らしいが著者が映画は小説とは別物と言うくらいなので、原作を読んでみたい。原作は本屋大賞受賞なのできっと面白いに違いない。
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