人の心の内側に焦点を当てると
こんなにも静かに
こんなにも坦々と
関係の崩壊は訪れゆくのか
この演技が賞を取ったのは頷ける
それは冒頭の水を飲むシーンで浮かび上がる、
爽やかに始まった一週間がその日届いた一通の手紙によって大きく変化していく
ある疑念が心を、じわじわと侵食していく様を見えないはずの心の有り様を次に水を飲むシーンで全身で示してゆくその演技力。
何かを知らないでいられた頃と知ってしまった後と、こんなにも人の人生とは違ってくるものなのか。
それを問う物語なのかもしれない。
誰にでも過去がある。
時計の針は戻せない、だから過去を上書きすることは出来ない。
それでも、
誰かの言動がある出来事を経由しているという事を知らされているかいないかでは、大きく変わっていく。
どんなに近しい間柄でも、
知りえないことはある。
そして、その秘密がときにこれまでの関係を全て覆してしまうほど大きいこともあり得るということだろうか。
