真一

シティ・オブ・ゴッドの真一のレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
5.0
 リオデジャネイロのスラム街☠️で繰り広げられる壮絶な暴力🔪と抗争🔫を通じ、弱肉強食🦁🦓むき出しの現代社会の本質を鮮やかに描いた作品。圧巻なのが、怒濤のカメラワーク🎥!最初の10秒を観るだけで硝煙☁️と、血糊🩸と、シュラスコ🍖と、潮🏖️の香りが漂うリオの貧困地区にトリップしてしまう。そして悪の限りを尽くすギャング少年たち😈のギラギラとした輝きに、目を奪われてしまう。連続する衝撃のシーン。鳴り響くサンバのリズム🎵。強烈なバイブス⚡を放つブラジル映画🇧🇷の大傑作です。

 舞台は、南米屈指のリゾート都市リオ。美しいビーチ🏖️からほんの一歩裏手に入ると、そこには、あらゆる悪👿が横行する巨大なスラム街☠️が広がる。1970年代に州政府が「シティ・オブ・ゴッド」(神の街)と名付けたこの無法地帯を、凄惨な暴力🔪と恐怖💀で制しつつあったのは「リトル・ゼ」を名乗るギャング少年😈と、その一味だった。ストーリーは、ギャングにおびえながら暮らす貧困少年のカメラ📸のフィルター越しに進む。少年の名はブスカペ👶。写真ジャーナリストを夢見る心優しき若者だ。

 誰からも恐れられるリトル・ゼ。そんなギャング・リーダーの心のよりどころは、凶暴な彼をいつもなだめてくれる相棒のベネ👦だった。人と交流するのが大好きで、いつも仲間の輪の真ん中にいるベネを、リトル・ゼ😈は誇らしく、そしてうらやましく感じていた。だが、自分のあまりの残虐非道ぶりに愛想を尽かしたベネ👦から「もう付き合いきれない。君から離れる」と決別を告げられる。「そんなことを言わないでくれ」と必死にすがるリトル・ゼ😈。その時、シティ・オブ・ゴッドの頂点に君臨する2人を、まさかの銃弾が襲う。鳴り響く銃声は、新たな「戦国時代」の幕開けを告げる号砲だった。そしてブスカペ👶は時代の目撃者として、この棄民街で懸命に生き、死んでいく多くの命にレンズを向け続ける―。

 確かにリトル・ゼ😈たちは鬼畜だ。だが私たちがもし一文無しになり、金融ブローカー👤に追われてスラム街☠️に逃げ込んだとしよう。生きながらえるためには「暴力🔪と恐怖💀」によるギャング統治を受け入れざるを得なくなる。そして「暴力と恐怖」がつくる権力ヒエラルキー⛰️の中で、少しでも安心して生きるためには、自らも暴力を誇示して権力の上位を目指さざるを得なくなる。ひたすら暴力におびえていたら、カモになるだけだ。そう考えると、リトル・ゼ😈の生き様には―誤解を恐れずに言えば―ある種の合理性が感じられる。リトル・ゼ😈はシティ・オブ・ゴッドの織田信長だった。

 そもそも、資産家や良家の子女、政治家、高級官僚、有名企業の幹部らが頂点に居座る現代社会の権力ヒエラルキー🗻は、シティ・オブ・ゴッドの権力構造⛰️と比べ、そんなに立派なものなのだろうか。確かに権力争いに銃🔫や刃物🔪は使われない。だが、それ以外に何が違うと言うのだろうか。私たちが暮らす現代日本🇯🇵も、シティ・オブ・ゴッド🇧🇷も、「弱肉強食」🦁🦓を掟にしているという意味では同じではないか。本作品には、こうしたメッセージが込められているような気がしてならない。魂を揺さぶる渾身の力作です。
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