がちゃん

シティ・オブ・ゴッドのがちゃんのレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
4.2
フェルナンド・メイレレス監督作品。
ブラジル、リオ・デ・ジャネイロのスラム街を舞台にした、ストリート・チルドレンたちの抗争を描く。
実話を基にした作品だというから驚きだ。

シティ・オブ・ゴッド(神の街)と呼ばれる街。
当たり前のように蔓延る、麻薬、武器。
それらを手にしてのし上がろうとする子供たち。
そんな街の風景を、カメラマン志望のブスカペの視線で語る。

時系列を前後させて、各エピソードをそれぞれ主要人物の物語として構成し、そしてその繋目はメイレレス監督の鮮やかな編集テクニックとセンスで洗練される。

カメラもすごく良くて、過去の映画人が誰も撮ったことのないスタイリッシュな構図の連続で、そしてそれがサンバのリズムに乗り画面を躍動させる暴力的に躍動させる。

この街の荒み方からしたら、日本のスラムと言われている場所が、保養地に見えてくる。
それだけ厳しい街。

ここを出れば我々が思う普通の暮らしができると思うのに、彼らの多くは街を出ようとはしない。
街全体に漂っている麻薬のような暴力支配の甘い味を知ってしまったら、もうその快感から抜け出すことができないのだ。
そして、無理に抜け出そうとするとそれは死を意味するということが、本能的にわかっている。

支配の快感を得たいと思う欲望。
その欲望が殺戮を呼ぶ。
殺戮が殺戮を呼び、それが大きな憎悪の塊になって街は戦争状態になる。
その街が神の街とよばれることの愚かさよ。

限りなく流される血で、この殺伐とした街が新陳代謝されていくというエンディングも強烈だ。

舞台となった、リオ・ジャネイロはオリンピックも開催された都市。
しかし、こういった街の現状は国外に対して発信されない。
恥部といえる場所は、やはり国として隠しておきたいのだ。それはどこの国でも一緒だね。

そして、こんな強烈な暴露を描いたメイレレス監督が、リオ・オリンピックの総合演出をしたという、ブラックジョークにも似た事実。

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