けーはち

シティ・オブ・ゴッドのけーはちのレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
4.3
60~80年代のブラジルのファヴェーラ(スラム街)をリアルに映し撮るクライム・スリラー。10~20代の子供や若者が皆ギャングとして銃を持ち、小遣い稼ぎのために普通に強盗や殺しをやる惨憺たる世界。その中でも良心や同情のタガが外れいち早く躊躇なく人を殺せる才能こそが、出世のカギ。包丁の甲高い研磨音と鶏を追いかける狂騒、弱肉強食を示すシーンに始まり、モーテル襲撃事件から台頭した若者ギャングの抗争、その栄枯盛衰、旧世代(と言っても20代)が殺され新たな少年ギャングスターが出現する所までを語り手で新聞記者(原作者)の主人公と共に眺める、終始モノスゴイ暴力が猖獗を極める救いがなさすぎる本作だが、一方でカメラワークや各年代のラテンやダンスミュージックを中心とした流行音楽の使い方、その土地その時代を生きながら罪を犯さず(精々友達に大麻を捌く程度)、真っ当な記者の職を得て成功した主人公の青春映画としての切り取り方が端正でもあり、最高峰のギャング映画のひとつと言って過言ではない。