安堵霊タラコフスキー

ある夏の記録の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

ある夏の記録(1961年製作の映画)
4.7
そういえばこの映画も例に漏れずジャン・ルーシュの他の作品と一緒にアンスティチュフランセで上映してたってことで、結構前に見たけど記憶を頼りに所感を軽く書いてみる

やはり一番強く感じたのはとことんメタ的、というかドキュメンタリーについて考察するドキュメンタリー映画だったなということで、冒頭監督の二人自身が被写体の一人に撮られることについて問い質す点や後半撮った映像について被写体となった人々が語り合うシーン等あまりに大胆な表現で映画に対する問題提起をしてくるけど、そうした映画について考えさせられる一種哲学的な描写というのを比較的好む身としては中々に目から鱗の場面が多い作品となっていた

こういう映画にも確実に編集や場面の取捨選択は行われているだろうから真実映画(シネマヴェリテ)なんて分類は大袈裟にも思えるし、そもそも作為の全く無い映画なんておそらく存在しないのだから真実映画なんてものがあり得たらそれこそ奇跡の産物だろと考えるのだけど、そうしたシネマヴェリテ云々を抜きにしてもそれまで行われなかった手法を駆使して新たな映画に挑戦する試みは素直に評価に値するし、こういう挑戦的な映画が産み出され始めたヌーヴェルヴァーグの時代ってやはり貴重なものだったなと改めて思う

ところで序盤で幸せについての街頭インタビューを試みるヨリス・イヴェンスの奥さんやばすぎでしょ