チーズマン

パディントン 2のチーズマンのレビュー・感想・評価

パディントン 2(2017年製作の映画)
4.2
どうやら『キングスマン』1作目の「マナー・メイクス・マン」の魂は、こちらの方の続編に受け継がれたようです。


笑って泣けるファミリームービーでありながら考えさせられること山の如し。
『パディントン』として前作以上の、ほぼ文句なしの続編でした。


前作同様、ベテラン役者が真面目に演じるバカげた悪役に、スラップスティックなギャグの数々、どちらも見せ方が更に磨かれています。
ヒュー・グラント、予告の印象よりも全然良かった。


前作では新しい家族と家に迎えられ、つまりロンドンという街にまずは居場所を見つけました。
でも大事なのはそこから先ですよね、今作は異文化の地で住人になっていく、そこに根付いていくとはどういうことなのかを楽しく描いていたと思います。

前作同様に受け入れる側の社会に加えて、移り住んで来た側へ向けての優しいメッセージ。
社会の寛容さは物凄く大事ですが、多分それだけだと上手くはいかなくて、相互に歩み寄ってこそだと思います。
その両方の“間を取り持つもの”、その基本中の基本はやはりパディントンが貫く礼儀や礼節、英国風に言うと“マナー”。
他にもこの作品はいくつも“間を取り持つもの”が出てきますが、その中の1つ“食べ物”というのが良かったですね。

そうやって地道に作っていった人間関係、つまりは新たに繋がった“人”が今度は間を取り持つものになってそれがまた広がっていく、そんな感じの暖かいラストでした。


やっぱクマが主人公でこそ寓話的な滑らかさで大事なことが伝わってくる素晴らしい作品ですね。
もし主人公をそのまんま移民の青年でやれば色々とリアルな邪念に邪魔されて大事なことが届いてこないのではないかと思いますね。

あのトランクのハシゴが欲しくてたまりません。
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